全国伝統歴史 町並み散歩/古い城下町や宿場町、古民家を写真で観光

みやぎの明治村の異名を持つ
宮城県「登米」の町並み

宮城県 登米(城下町)
武家洋風建築

 登米のなりたち

古くは奈良時代の続日本紀に遠山村の記述があり、それが転じて登米となりました。江戸時代、伊達氏の一族である白石宗直が登米に入って北上川の改修とともに城下を整備したことで、栄えていくようになります。

 登米へのアクセス

仙台駅前から東日本急行バス約90分「とよま明治村登米観光物産センター」バス停下車すぐ。またはJR気仙沼線柳津駅から登米市民バス佐沼行き11分「三日町」バス停下車すぐ。どちらのバスも本数が少ないので注意。
自家用車の場合は、三陸自動車道登米ICから県道4号、県道36号経由で約7分。

 みやぎの明治村を往く

バスで登米の「とよま明治村登米観光物産センター」ないし「三日町」に降り立つにしろ、自家用車で訪問するにしろ、観光物産センター遠山之里を起点にしましょう。バス停からは交差点を挟んですぐですし、ここには観光客用の駐車場もあります。

登米は行政名は「とめ」と発音しますが、平成17年(2005年)の市制施行合併前は登米町(とよままち)でした。「とめ」は明治期の郡制発足時に読みやすさを鑑みて登米郡(とめぐん)と命名されたものが、市制施行後も使われているもので、旧登米町エリアは現在でも「とよま」と呼ばれています。

登米

遠山之里を出て県道36号を西へ歩きだしましょう。150mほど行けば右手に瀟洒な門構え。教育資料館です。

正面にバルコニーを持つこのモダンな建物は明治21年(1888年)に建てられた旧登米高等尋常小学校を保存したもので、木造素木造り二階建の国指定重要文化財です。
中の教室も昔のままの机や腰掛オルガンなど、当時の様子そのまま。また、明治から昭和初期にかけての子供用の着物があり、自由に試着して記念撮影をすることができます。

教育資料館

一度踵を返して来た道を少し戻り、県道の反対車線側にある水沢県庁記念館へ赴きます。入口の冠木門(かぶきもん)をくぐって、中へ入りましょう。

水沢県とは現在の宮城県北部と岩手県南部にまたがる地域。もともと明治4年(1871年)の廃藩置県において一関県・江刺県・胆沢県が設置されたものの、わずか半年弱で統合されて一関県となります。さらに1か月後には水沢県と改称され、県庁舎が水沢ではなくここ登米に設置されました。
明治2年(1869年)に登米県が設置された際に県庁舎用に建てられた建物が、登米県の一関県への編入により使われないままになっていましたので、水沢県庁舎として使用するにもってこいだったのです。

水沢県庁記念館

続いて南下すると左手に見えるのが武家屋敷春蘭亭(しゅんらんてい)。慶長9年(1604年)に伊達一族の白石宗直(しろいしむねなお)が、水沢から登米に移った際に住んだ武家屋敷で、その後江戸中期か後期ごろ建て直されて今に至ります。

春蘭亭

宗直が入ったころの登米は戦災で荒れており、北上川も氾濫を繰り返していたため、まずは復興と河川対策とばかりに、田畑の開墾と堤防建設を実施します。堤防は相模土手と呼ばれ、これより水運の中継地として登米は物資の集積が進みます。

春蘭亭

春蘭亭は、この地に自生する春蘭の花を加工した「春蘭茶」から命名されたもので、囲炉裏を囲んだ喫茶スペースで春蘭茶を飲むことができます。

武家屋敷通り

そのまままっすぐ南下すると、道がクランク状に曲がっています。城下町によく見られる枡形で鉤形小路と呼ばれています。
ちょうどそこに町屋ミュージアム菅勘資料館の入口が。明治時代の廻船問屋・菅野家による各地との交易で集めた生活用具の展示を見ることができます。

町屋ミュージアム菅勘資料館

県道15号に出たら進路を東に変えて歩きます。少し行くと左側に瀟洒な洋風建築。警察資料館です。明治22年(1889年)に建てられてから実際に昭和43年(1968年)まで登米警察署として使用されていました。ちょっと警察署らしからぬ擬洋風建築が目を引きます。中には留置場があり、実際に入ってみることもできます。

警察資料館

資料館の北隣には玄昌石の館があります。玄昌石(げんしょうせき)は天然スレートとして全国的に有名な黒色緻密な薄板状の粘板岩で、登米の特産でもあります。玄昌石の産出から製品に至るまでの過程を、写真パネルなどで紹介しています。無料で入れるので見ておきましょう。

そのまま商店街を北上すると伊新薬局があります。この江戸時代から続く薬局の店蔵に、明治初期以降の薬関連の看板などが展示されていますのでこちらも要チェック。(アンティーク資料館

画像引用:宮城県経済商工観光部観光課様(http://digi-photo.pref.miyagi.jp/index.php) 菅勘資料館様(http://www.kan-kan.info/)