全国伝統歴史 町並み散歩/古い城下町や宿場町、古民家を写真で観光

横浜の代表的景観を誇る
旧居留地「山手」の町並み

神奈川県 山手(その他)
洋風建築

 山手のなりたち

開国により外国人の居留地として関内近辺の山下地区が拓かれましたが手狭でもあったため、文久元年(1861年)に幕府が山手の地をイギリス等に貸与し、洋館が建ち始めたのがはじまりです。

 山手へのアクセス

JR根岸線石川町駅南口から徒歩でまわりましょう。
もしくは横浜高速鉄道(みなとみらい線)元町・中華街駅5番出口から辿ることもできます。

 西洋の薫りを存分に感じつつ

JR石川町駅から南へ進むとやや高台になった公園があります。一時期イタリア領事館があったことから「イタリア山庭園」と呼ばれるその中に佇んでいるのが外交官の家です。

ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使だった外交官の内田定槌(うちださだつち)の邸宅で、海外生活が長かった定槌らしく徹底した洋風化を施した建築となっています。明治43年(1910年)に東京渋谷に建てられたものですが、平成9年(1997年)にこの地へ移築復元。今では山手に建ち並ぶ西洋建築群の一翼となっています。

外交官の家

同じ庭園内にあるのがブラフ18番館
大正12年(1923年)に発生した関東大震災の後に、山手町45番地に建てられました。外国人住宅として建てられ、戦後はカトリック山手教会の司祭館として使われていましたが、解体され部材が横浜市に譲渡されます。

その後、復元移築して平成5年(1993年)から一般公開となりました。
フランス瓦の屋根や暖炉の煙突、バルコニーやサンルームなど震災前の外国人住宅の特長をよく残しています。

ブラフ18番館

庭園を出て南へ行けば山手本通りに行きあたります。左に折れてそのまま進めば右手にはカトリック山手教会の姿が。開港後に初めて建てられたキリスト教会堂である「横浜天主堂」が明治39年(1906年)に山下町から移転したものです。
しかし、関東大震災で倒壊したため、ヤン・ヨセフ・スワガーの設計により昭和8年(1933年)に再建されました。鐘は創建当時のものが現存しています。

カトリック山手教会

教会横の三差路を南に入るとアメリカ人宣教師メアリー・キダーが創設した「フェリス女学院大学」のキャンパスです。キャンパスの横から廻りこむと山手公園に入っていきます。
こちらは居留外国人の手によって整備された、日本最初の洋式公園。

テニス発祥記念館

テニス発祥記念館

山手公園は明治11年(1878年)に敷地内にテニスコートが造られたことから、日本におけるテニス発祥の地でもあります。その記念と日本でのテニスの発展の歴史を学べる施設「テニス発祥記念館」は無料で見学可

再び山手本通りに向かって北上します。ベーリック・ホールのスパニッシュな概容が見えてきました。イギリス人B.R.ベリックの邸宅として、昭和5年(1930年)に建造。昭和31年(1956年)にカトリック・マリア会に寄付され寄宿舎として利用されました。
J.H.モーガン(アメリカ人の建築家)による設計で玄関部分の3連アーチや、クワットレフォイルと呼ばれるイスラム風の小窓、瓦屋根が載った煙突など個性的な装飾が施されています。

ベーリック・ホール

ベーリック・ホールの道を挟んで隣には「現代建築の父」と呼ばれたA.レーモンドの設計によるエリスマン邸
生糸貿易商社「シーベルヘグナー商会」の横浜支配人フリッツ・エリスマンの邸宅で、大正14(1925年)ごろ山手町127番地に建設されました。平成2年(1990年)には元町公園に移築、現在に至ります。

エリスマン邸

元町公園の東にも洋館が。山手234番館は昭和2年(1927年)に外国人向けのアパートとして建てられ、この地区に現存するもののうち最古で唯一のもの。
隣接する「山手89-6番館」(洋菓子店えの木てい)と同じ朝香吉蔵による設計です。

山手234番館
えの木てい

えの木てい

赤い木枠に白の上下窓がキュートな印象の「山手89-6番館」は現在洋菓子喫茶店になっています。ダークチェリーとフレッシュバタークリームで仕上げた「チェリーサンド」が名物。歩き疲れたらここで休憩を

そのまま北へ行けば左手に横浜外国人墓地の杜が見えてきます。
横浜外国人墓地は横浜港に寄港していたアメリカ海兵ロバート・ウィリアムがフリゲート「ミシシッピ」のマスト上から誤って転落死した際、海が見えるところに墓地をというペリーの意向を受けて設けられたことにはじまります。内部は3月から12月までの土曜、日曜、祝日のみ公開されています。

横浜外国人墓地

外国人墓地の門の前で右折し、海の方へ歩きます。突き当たりを右折すると左手には横浜市イギリス館があります。
昭和12(1937年)に上海にあった大英工部総署の設計により英国総領事公邸として建てられたもの。高い天井、重厚な造りの扉、寄木の床面、玄関脇にはめ込まれた王冠入りの銘版などが当時の英国の権勢を偲ばせてくれます。周囲は「港の見える丘公園」になっています。

横浜市イギリス館

噴水広場を挟んですぐそばには山手111番館の3連アーチが眼を引く玄関が。べーリック・ホールを設計したJ.H.モーガンによる設計で、赤い瓦屋根に白壁の建物が緑によく映えます。

山手111番館

港の見える丘公園でしばらくのんびり過ごしたら、あとは横浜高速鉄道(みなとみらい線)の元町・中華街駅へ向かっても良いですし、そのまま山下公園まで足を延ばして横浜市開港記念会館を見るのも素敵です。

この建物はレンガと花崗岩で建築され、東南の隅にはジャックと呼ばれる時計塔、西南の隅に八角形ドーム、西北の隅に角ドームがあります。

横浜市開港記念会館

ジャックがあるならクイーンとキングも見ておかねばいけませんね。クイーンは昭和9年(1934年)に竣工した横浜税関です。
庁舎1階には「税関資料室」があり、その歴史や役割をはじめ、ホンモノ・ニセモノ、ワシントン条約、密輸の手口などを紹介したコーナーなど、愉快な展示を楽しめます。

横浜税関

最後にキングを。神奈川県庁の塔がキングなのです。五重の塔をイメージして造られた塔屋で、全容はクラシカルながらも前衛的。後年多く建てられた帝冠様式の先駆となりました。昭和3年(1928年)竣工。

神奈川県庁

画像引用:公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー様
(http://www.welcome.city.yokohama.jp/ja/media/photo_library/)
663highland様(http://ja.wikipedia.org/wiki/
%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E5%BA%81)