全国伝統歴史 町並み散歩/古い城下町や宿場町、古民家を写真で観光

せせらぎの桜並木
城下町「小幡」の町並み

群馬県 小幡(城下町)
商家民家

 小幡のなりたち

小幡氏が活躍した中世を経て、奥平家の所領となった小幡藩は江戸時代になると織田信長の孫・信良(のぶよし)が藩主となります。その後松平家の支配へ移り、当時の面影が今も残る町並みとなりました。

 小幡へのアクセス

上信電鉄高崎駅から30分、上州福島駅下車 駅から3km。駅に無料レンタサイクルがあるので利用しましょう。
自家用車の場合は上信越自動車道富岡ICから県道46号線経由で約8分

 桜とせせらぎと町並みと

小幡の町の中心部へ入ると、まっすぐ続く並木が目に入ります。この並木は桜。春になると枝にたわわに花を付けて道行く人を和ませてくれます。例年4月には「さくら祭りと武者行列」が開催され、鎧兜に身を固めた武者たち200名による大行列が繰り広げられています。

桜並木

ふと眼を遣れば、桜並木の横にせせらぎが流れています。この流れの名は雄川堰(おがわぜき)と呼ばれる用水路。古くから住民の生活・農業用水に用いられています。日本名水100選に選定されています。

雄川堰

雄川堰と桜並木に沿って続くのが白壁の町並み。これらの建築は明治中期に建てられた養蚕農家です。

白壁の町並み

まっすぐ南へ進むとお休み処信州屋があります。信州屋はその名の通り、明治時代後期に信州から移り住んだ家主・宮嶋九十氏の息子、仁三郎氏が明治38年(1905年)に建てた建物。最初は呉服などを取り扱っていましたが、薬や雑貨などをメインにしてゆき、近隣の養蚕農家に倣って養蚕も手掛けます。
往時の佇まいはそのままに改修し、平成25年(2013年)4月に無料の休憩所、観光案内所としてオープンしました。

お休み処信州屋

すぐ隣にはいい按配の風情を醸し出す旅館茂木館が。町内で唯一の宿泊施設でしたが、現在は休業しています。

旅館茂木館

交差点のすぐ斜め向かいに建つのは甘楽町歴史民俗資料館。大正15年(1926年)に組合製糸小幡組の繭倉庫として造られたものです。レンガ造りの重厚な建物の中は、武具や養蚕資料を展示しています。

甘楽町歴史民俗資料館

民俗資料館の道を挟んで向かい側には大手門がありました。現在は礎石だけが残っています。

まだしばらく南へ進んで最初の角を右折すると中小路です。小幡藩主が通った幅14mのメインストリート。武家屋敷や石積が残っています。
小幡の武家屋敷の中でも、当時の様子を最も色濃く残しているのが、高橋家です。

高橋家

高橋家

小幡藩勘定奉行を勤めた高橋家。特筆すべきは庭園で、心字池を中心に配されています。小幡藩では庭園は百坪以内と決められていました。高低差わずか10cm足らずの蓬莱の滝の水音が涼しさを演出してくれます

小幡藩は2万石の小藩だったため、城郭を建設するに及ばず、陣屋が設けられてそれを居城としました。陣屋は雄川堰の東岸に築かれましたが、現存していません。それでも数々の遺構が残されており、喰い違い郭もそのひとつです。

喰い違い郭

喰い違い郭

わざと見通しを悪くした石垣で、戦の時の防衛上のために造られたものとみられます。 また、下級武士が上級武士に出会うのを避けるため隠れたともいわれています

また「喰い違い郭」のすぐそばには小幡藩松平家の大奥がありました。大奥と言っても小藩ですから、奥方と数名の腰元が住んでいただけでした。
さらに歩みを進めて南へ進んだ先には松浦家
藩の武家屋敷として江戸時代後期に建てられたもので、堰の水を引きこんだ庭園は背後の山を借景にしています。

松浦家

踵を返して御殿前通りへ戻ります。じきに楽山園(らくさんえん)です。藩邸に付属する群馬県内唯一の大名庭園で、2万3千平方mを誇る広大な面積の池泉回遊式の借景庭園。楽山の名は「論語」の「智者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」の一文から採ったものです。江戸時代初期に造られましたが、経年で荒れていたのを整備して平成24年(2012年)に開園しました。

楽山園

長岡今朝吉記念ギャラリーの横を通り、雄川沿いの「せせらぎの路」をのんびりと歩いて行きましょう。6月には蛍も飛び交います。
県道46号まで出てくれば道の駅甘楽。ここで最後にお土産を買ってもいいですね。すぐ隣には松井家がありますので、ここも見ておきましょう。

松井家

松井家

江戸時代に苗字帯刀を許され名主を務めた松井家を移築復元したもの。建築年代は江戸中期で、平屋建寄棟造草葺屋根。この地方の代表的な農家造りの邸宅です

画像引用:公益財団法人群馬県観光物産国際協会様(http://gtia.jp/visual/)
甘楽町様(http://www.town.kanra.gunma.jp/)
東京そぞろ歩き様(http://tokyosanpo.exblog.jp/2097238/)