井波のなりたち
神代の時代に創建されたとされる越中国の一宮・高瀬神社がある井波。その後、浄土真宗の瑞泉寺の門前町として発展して今に至ります。瑞泉寺の門前には石畳の参道の両側に風情ある町並みが残ります。
井波へのアクセス
JR城端線砺波駅からタクシー15分。
自家用車では北陸自動車道砺波ICから国道156号経由で約10分
八日町通りを歩く
北陸自動車道の砺波ICを降りて、国道156号を南に進み、まずは高瀬神社を目指しましょう。井波市街地へ入る県道280号へ入り、坪野で国道471号を右折します。
高瀬神社は越中一宮の格式ある古社。神代の時代に創建されたとされ、史実としても8世紀成立の「続日本紀」にその名が載っています。
高瀬神社
戦国時代には戦乱で荒廃しましたが、江戸時代になると加賀藩主前田氏により保護を受け、現在では北陸トップクラスの初詣の参拝者数を誇ります。
境内には君が代に歌われる「さざれ石」があります
また神社境内にはこんなかわいらしい像が。なでうさぎです。主神である大国主命の「因幡の白兎」の神話をもとに、その「医療医薬の神」を讃える像として設置されています。この像をなでると心身ともに健やかになれるのだとか。
神社をあとにして井波市街へと向かいます。八日町通りの入口そばには八日町広場があります。高さ4.9mの月見櫓とからくり獅子頭「レオナルドさん」、そして壁面には井波のシンボルである井波彫刻が。
井波彫刻は江戸時代中ごろ、瑞泉寺(ずいせんじ)本堂再建の際に地元衆が、本堂の彫刻技法を京都の本願寺から派遣された彫刻師に学んだことから始まりました。欄間や衝立のほか、仏像やかわいいお雛様などを伝統技法で、職人が今もノミを振るって制作します。
では八日町通りを歩いて行きましょう。石畳で舗装され、風情が感じられる整備が施されています。
八日町通りの参道には何軒もの井波彫刻の工房や店が並んでいます。荒格子や白壁の町家の軒先には、屋主の木彫りの干支がさげられているのも独特ですね。
通りの右手にある酒屋は裏手に酒造場を持つ老舗。若駒酒造です。明治22年(1889年)に創業した老舗の造り酒屋で、現在は5代目が昔ながらの味を守っています。
斜め左向かいにはよいとこ井波の瓦屋根が。こちらは旧井波商工会館跡地に建設された施設で、井波彫刻や陶器、雑貨などの地元特産品の販売や、郷土料理などを提供する飲食店、池波正太郎ふれあい館などを備えています。
続いて参道を進んでいきます。井波彫刻の店からは彫刻師がノミを振るう音が聞こえてくるのもゆかしいものです。
参道の突き当たりには瑞泉寺の山門が堂々たる姿を誇示して聳えています。瑞泉寺は明徳元年(1390年)創建。北陸の浄土真宗信仰の中心として多くの信者を集めて、越中の一向一揆の拠点にもなりました。
下の写真右側の本堂は、宝暦12年(1762年)の大火で焼失したあと、明治18年(1886年)に再建されたもので、間口46m、奥行43mの単層入母屋造。北陸最大の木造建築です。
また左側の太子堂は聖徳太子の像を安置した仏堂で、籠彫り彫刻をはじめ、建物内外の側面を飾る蟇股(かえるまた・棟木を受ける材木で蛙の形をしているもの)彫刻など数多くの井波彫刻を見ることができます。